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IRC ASPITE PRO RBCC 700C

¥7,480 税込

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使ってみました

距離は800キロほど走ってみた段階ではありますが、一定の理解ができたと思うので、簡易的にですが、書いておきます。

使っているバイクは、最近メインに乗っているSCULTURA ENDURANCEで、タイヤのサイズは700x30Cをテストしています。このサイズになったは2つあります。1つはこのバイクらしいサイズであること。もう1つは相対的に太めのクリンチャータイヤにありがちなネガティブ要素をチェックするためです。

たいへんに良いタイヤです

ひとことで言えば良いタイヤです。良さにも色々ありますが、レースタイヤとして機能しつつ、ポテンシャルを持ちつつ、我々がするようなゆったりサイクリングにも良さの方向性が向いた、非常に守備範囲の広いタイヤだと感じました。

コンチネンタルがGP4000を発売して以来、そこからの系譜がクリンチャータイヤのベンチマークとして認識されてきたのはご存知の通りです。しかしながら、レースを目的としない人が使う場合、もう少し使いやすくても良いのでは?という余地が残されていたこともまた確かでしょう。これを感じるか感じないかは、辛さが好きか嫌いかのようなものですから、感じなくても全く問題はありません。あくまで感じたことがある方がいれば、それはそう表現できるのではないかということです。

それでは柔らかく、しなやかさをもっとも売りにしたようなタイヤであるかというと、そうでもありません。先程書きましたように、基本的にはレースタイヤです。ただ、シビアさはあまり感じないので、安心して乗っていられると感じます。具体的に想像いただくのは難しいですが、クセがないレーサーという印象かもしれません。

人々はコンチネンタルのGP5000を軽い軽いというわけです。しかしながら、性能というのを五角形のような表現で表せば、すべて満点ということは不可能です。また、軽いという感覚を使用者に提供することで失うものもあると思います。その点で言えば、ぼくはGP5000に限らず、使用感の軽さとは接地感のなさであると思います。ぼくはそういうタイヤがあまり好きではありません。レースタイヤとしては良いと言えますが、ぼくが普段使うのはちょっと使いにくいのです。それは長い距離や時間のライド、あるいは天候や路面状況の変化により顕著に現れます。事故なく、安心して、安全に、今日一日を楽しく走り切るには、シビアだと感じます。

例えば、ヴィットリアのCORSAもいいタイヤですが、GP5000よりもCORSAの方が使いやすいでしょう。それはGP5000がタイヤ自体の変形を拒むからです。実際、接地面積が違うだろうと思います。CORSAはしなやかで、もっちりした印象なのですが、グラフェン2によるゴムの進化によって、変形により現れるネガを低く抑えています。

ASPITE PRO RBCCは、それらと違うタイヤです。3つを比較した場合には、最もクセがなく、扱いやすく、安心して”タイヤを使える”感触があります。だから、本当にいいタイヤです。

先代のASPITE PROは、とてもレーシーで前へ前へと進むタイヤだった印象でしたし、GP5000を追いかけたような印象だったので、この変化には大変驚きましたけれど、とても使いやすく買いやすいタイヤになったと思います。タイヤに詳しくない人やあまり興味のない人には「ずっと、これでいいのでは?」と言えるタイヤになったと思います。もはや自転車もタイヤも、重量を軽くすることと、軽くするとにより良い印象になる時代は終わったと思いますので、なぜASPITE PROが軽さのスペックで際立たないかといえば、開発過程における目標達成において、プライオリティが低くなったからだろうと思います。

パンクのしにくさという性能もありますよね。結論的にはASPITE PRO RBCCはたいへん高い性能なのですが、それはある種のシート状のものを挟めばよいという世界ではないのです。シート状のものは入れるとタイヤが固くなってしまうんですね。そこから派生したのか、先代からは反発と剛性のを感じたわけですが、今回のASPITE PRO RBCCからは感じないのですよね…。これはなぜなのか?…。なお、ゴム自体の質もパンクのしにくさには関係するそうです。

真面目に開発されたタイヤである

開発した方からすれば「仕事だし当たり前だろう笑」とクレームが入りそうですが、非常に良いタイヤであり、開発の目標設定がアクチュアルだとおもいました。それは相対的に太めのタイヤへの味付けにも現れていますし、単に太くしただけであれば、市場の要求とずれてしまうことがあるからです。チューブレスをFORMULA PROとし、クリンチャーをASPITE PROとしています。同じネーミングのタイヤに両方のバージョンを作るのではありません。そもそも違う構造であるチューブレスとクリンチャーですから、ゴールに設定する数値も感覚も別になるでしょう。当然、設計も変わりますし、別のタイヤになるのは必然だと思います。他メーカーではここまでハッキリと分けていませんから、その意味でも開発の印象を真摯だと感じます。

今までにない印象のクリンチャータイヤ

今までにないといっても、珍しい存在という意味ではありません。よくできているという意味です。非常に高いバランスにおいて、いくつもの性能が同居できていると思います。クリンチャータイヤでもこういうバランスを作れるのかと驚きました。相対的に太めになると、変形のしやすさや摩擦抵抗の増加により、特に走り出しや加速時に重たい印象になるものですが、ASPITE PRO RBCCについてそれは当てはまらないように感じます。ですから、ペダリングもスムーズにすることができ、太さを増してもロードバイクらしさが消えずに残るのは素晴らしいことだ思いました。

「チューブレスに迫る」というキャッチについて

どこかでそんなキャッチを見かけましたし、このワードについてお客様の耳にも残っているとの認識がありますので、書いておきます。先程申し上げましたとおり、チューブレスとクリンチャーでは構造が異なります。ゆえ、迫るといっても何に迫るのかは、それぞれの方の認識とイメージが異なるかと思います。私が推測するに、”乗り心地”を第一に挙げる方が多いのかと思います。これを「確かに近い」「変わらない」とおっしゃる方もいらっしゃるのだと思いますが、私はその感覚の出どころが違うと感じました。チューブレスが構造自体により性能を発揮できるのに対して、クリチャーでは構造によるネガティブをいかに設計とゴムで相殺しつつ前進させるかというものだと思うからです。実際、設計とゴム質により頑張ってこの特性を発揮しているんだなあ…と、初回使用時からとても感じましたし、構造によるネガの部分もあることは感じました。ただ、それらが大変高いレベルにおいてバランスしているので、わからない人もいるだろうとは感じました。もちろん、空気圧を適正にすることは欠かせません。

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